自宅作業とアウトドア用にナイフを作ってみた


ナイフを自作できるワークショップに参加してきました。
めちゃくちゃ大変でしたが、とっても面白かったです!


色んな工作機械に触れたり、他のモノや道具を
作ることのできる工具を自分で作れちゃったりと
貴重な体験ができました!

ざっくりとした流れ


こんな感じ。
ホントは詳しいテキストをいただいてます。。。


テキストには、それぞれの工程で刃のもととなる鋼(はがね)が
どんな状態になるか、なぜこのステップ・手順が必要か
ということが科学的に説明されていました。


私には少し難しかったので、以降の説明で
間違っているところがあるかもしれません。
(先生スミマセン...)


刃の部分となる金属に
大きく3段階の工程で火を入れ、強度をアップして
磨いて刃先を鋭くします。

STEP1 焼きなまし

は時間がかかる(ほぼ1日作業)らしく、
すでにこの工程が終わった素材をいただく。

私が選んだのは、鋸の目立て用のヤスリ。
表面がくすんでいるのは、古いのではなくて
焼きなましをしたから。


断面がひし形になっているので、刃の形にしやすい
というのが理由。


他にも100均の少し厚めのヤスリから
削りだして作ることもできるそう。


ヘボ&不器用を自覚してますので、
完成させることを最優先させましたw



これが先生の見本。
上から2番目のは、丸い穴に指を通して使います。
デザイン重視かと思いきや実用性もばっちり!


丸い穴は、丸いノコギリの刃の中心を利用したんだとか!
発想がすごい!


まずは、刃の形を大まかに切り出します。


ナイフについてはあまり詳しくないため
どんな形にしたらよいかわかりません。


自分がいつも使っているキャンプ用のナイフと
同じような形にすることに。


真ん中のがいつも使っているナイフです。
普段は折りたたんであるため、刃の上部に
開くための溝がついています。


ちなみに、このナイフはほかにもスプーンやフォーク
缶切りがついているのでこれ1本で
食事中は困らないスグレモノ。
中学生くらいからずーっと愛用してます。


ノコギリ用ヤスリ(素材)に刃の形を
マジックで描きます。


切り出しにはベンチグラインダー(たぶん)という工具を使いました。
これは、丸い砥石が高速で回転しているので
そこに素材を当てて削ります。



金属を削るわけで、火花が飛び散ります。熱いです。
(たぶんそれが直接顔にかからないようにアクリルパネルがある)


コルクのような木片を当てて、指が火傷しないようにします。
素材を支えている右手も熱くなるので、
素材を水につけながら削りました。


個人的な感想ですが、工作機械は
中途半端にビビって腰が引けてしまったり
ヘンなところで手を放す・緩めると余計危ない気がします。


これも散った火花が掌に当たりましたが
動揺せずに手元をよく見てじわじわ削っていきました。
といっても、火花が触れるのは一瞬なので
さほど熱くなかったです。(緊張していたからかも?)



切り出すとこんな感じ(下)
何だか、遺跡からの出土品みたいですね。


上は、お手本にした先生のナイフ。
上側が反っているいるのは、木を丸くえぐったりできるそうです。
今使っているナイフにはその機能がないため、
マネして取り入れてみました。
(ま、完成したら案の定機能しなかったんですけどね)


武器を作るわけではないので
刃は片側だけについていれば十分。
※両側に刃を入れる場合は、銃刀法の関係で「剣」に
なってしまう可能性が非常に高く、
刃渡りを長くしないように特に注意が必要です。
(所持も禁止!)



さて、素材が黒ずんでいるのは、焼きなましの工程で
表面に酸化被膜ができてしまったため。


これはベルトサンダーという機械を使って
磨いていきます。


この機械は、ベルト状なった紙ヤスリを高速に回転させています。
この上に削りたいものを押し付けるだけで
表面をきれいにすることができます。


もちろん紙ヤスリなので、違う番手(番号)のものに
取り替えることができます。
粗くざっくり削ったり、細かい目できれいにしたり。


刃となる部分(薄い)を磨くため、やっぱり
木片で押さえながら磨きます。
それでも熱くなります。


しばらく磨いていくと、だんだん銀色の部分が
見えてきました!


細かいところは、包丁などを研ぐ砥石で
濡らしながら磨きます。


この時点ではまだ刃が入っていないのですが
刃先の部分にうっかり指を当ててしまって、
ちょっと痛かった(>-<)


ベルトサンダーで微調整しつつ
砥石使いつつ


こんな感じに!
上が焼きなまし直後。
下が磨いた後。
なんかそれっぽくなってきた!


STEP2 持ち手を付ける準備

次に、グリップになる部分の準備をします。
こんな感じで、刃の両側から木を挟みます。


木-刃-木
って感じ。これを釘で上から下まで貫通させて固定。


釘を通すための穴を開けます。



使っているのはボール盤
穴は直径2ミリ(だったかな)。
金属に孔をあけるため、素材がめちゃくちゃ熱くなります。
そのため、水をたらして冷ましながらあけていきます。


コーヒーカップはお茶しながら作業していたんじゃなくて
冷やすための水が入っています。


こんな感じ。
刃がちょっと茶色っぽくなっているのは
酸化が始まっているから。
(直前まで水を使って研いでいたため)


磨いた後は水分をふき取ることが大事。
というのが良く分かります。
(今回はこの後の工程をすぐ行うためこのまま)

いよいよ焼き入れ!

よく刃物の製造過程で、鉄が真っ赤になっているところが
イメージ映像なんかで使われたりしますが、これもそんなところ。


自作の窯?
白い綿に見えるのはセラミックウール(たぶん)で
耐熱性が良い素材。


ここにさっきの刃を入れて


早く温度を上げるためにバーナーは二刀流!


見づらいですが、刃全体が真っ赤になりました。
まさにイメージ映像通り。


んで、この工程はすぐに冷やすのが大事。
しかも、まっすぐに水に入れないと刃が反ってしまう。


…はい、自分ではまっすぐ入れたつもりでしたが
作ってみたら若干反ってました。



ちょっと冷ましまーす。(やっぱり出土品...)

STEP3 そして焼戻し

この工程はゆっくり温める→冷ます→ゆっくり温める
を2〜3回繰り返します。


そう、ご家庭にあるサラダ油でもOK。
150度〜200度の中に入れて15分くらい。


焼き入れのあと1時間以内に行わないといけないそう。


温めている間の時間を使って、取手部分の加工も。


刃が入る部分に線を引いて


ボール盤で削ります。
これも慎重にやらないと、削りすぎたり、
取っ手本体が暴れそうになります。


いったん油から引き揚げて空冷中。


グリップ部分の不要な場所を切り取ります。
大きい部分はこの工具(丸鋸?)を使います。


…が、これは本当に怖かったため、
先生に切っていただきました。

映画とかゲームで敵が振り回してそうな丸ノコの刃が
高速回転してるんですよ。当然音もすごいし。

まずは何もないところで空回りさせてから
切断対象に当てないと反動で刃が弾かれて大ケガすることも
あるそうです。


…自分でやるならハンドソー(小型ののこぎり)で
ちみちみ削るかなぁ


焼戻しが終わったら、また水をつけて砥石で磨きます。
ベルトサンダーも使いつつ。


ここで刃も入れていきます。
親指の爪にあてて引いたときに、引っ掛かりが出てくると
切れ味が出てきた証拠。


だんだん引っ掛かりが出てきたんですが
私だけでやったらペーパーナイフくらいの切れ味しか
出ませんでした。


やっぱり仕上げは先生に頼ることに。。。


取手と刃を合わせる

先ほど削った取手に取り付けます。

釘を下から入れておいて、2液を混ぜるタイプの
エポキシ?の接着剤を塗ります。
30分で硬化が始まります。


こんな感じでバイスでぎゅっと固定。
だいぶ様になってきた。


釘が貫通している状態のため、グラインダーで
先端を落とします。
(ここも怖かったため、先生に...)


最後は取手を自分の使いやすい形に
ベルトサンダーで少しづつ削りながら調整。


自分で使う場面(山で果物をむいたりするとき、木を削ったりするときなど)を
イメージしながら、握った時にしっくりくるように。

。。。と言っても初めて&不器用なので
そんなにイメージ通りにはならないのですが。



当たり前ですが、ベルトサンダーを使って削る面は
摩擦熱でとっても熱い!!!

グリップ部分を削りながら調整するのですが、
押さえつけている指は熱くないため、うっかり
グリップを握ってしまい”熱っ!”となることが何度か...


最後に、取手に亜麻仁油(食用)を塗りこんで完成!!!!
亜麻仁油は硬化する働きもあるのでよいんだとか。

ナイフにストラップをつけたかったため、取手下部にも
穴をあけています。

ドキドキしながら帰宅!

帰りはこんな感じで新聞紙にぐるぐる巻きにして
すぐに取り出せないように厳重に梱包して持ち帰りました。


"自分で使用するナイフを作って持ち帰る途中"という
正当な理由がありますが、
銃刀法に加えて軽犯罪法にひっかかる可能性があるため
慎重に慎重に。


ワークショップ後は寄り道しないでまっすぐ家に帰りました。
職質されたらどうしよう、と思いながら。


早速使ってみた

家に帰って取り出してみました。
こんな感じで、刃が入っていない側に、ヤスリだったころの
名残の斜めの線が入っています。


砥石で磨ききれなかった、というのもありますが
元の形を残しておくのも面白いかなー、と。


もちろん使うために作ったので
早速ナイフを使用してみました。


キャンプの定番料理といえばカレー!
ということで野菜を切ってみる。。。。


切れるけど、包丁より力がいる感じ。
刃物の上から体重をかけないと切りにくかった。


そして、焼入れで冷ます時にまっすぐ水に入れなかったため
若干左に反ってる。。。

市販品はやっぱりすごい!

今回のナイフ制作に限らず、身の回りの物を
自分で作ってみると、いかに市販品が優れているかが
良く分かります。


野菜を切ってわかりましたが包丁はやっぱりよくできている。
ジャガイモを切っていた時、芽をとるのに
包丁の付け根部分でえぐっていたのですが、
今回のナイフにはそれに相当する部分を作っていなかったため
芽がうまく取れず。(結局そこだけ包丁を使ったw)


切れ味も包丁にはかなわない。
(これは単に私の研ぎ方がまずいだけかも)
工業製品はやっぱり形状も機能もよく考えられているなーと
改めて思いました。


それでも、他の道具を作ることのできるツールである
ナイフを自作(仕上げは先生ですが)できて
本当にうれしいです。


あと、今回もたくさんの工作機械や工具を触ることが
できてとっても楽しかったです!


砥石もいただいたので、大事に使いたいです!
目の細かい紙ヤスリも買ったので、ピカピカにして
使いたいと思います♪


そして、このナイフを入れるケースも自作したいと
考えています。
そうしないと、アウトドアに使いたくても
自宅から持ち出せないからです


とりあえずは革で作ろうかなあ。
刃からケースまでフルカスタムだっ!!!